さて 、次回から埋没材に入るのでもう一度ワックスに関しておさらいしておきましょう。ワックスに関しては昔の記事も参照してくださいね、そうすると33-MDDTが喜びます。
≪インプット事項≫
まずは、おおもとの組成とワックスの特徴を抑えましょう!
【おおもとの組成】
①パラフィン:ほとんどの歯科用ワックスの主成分、フローが大きく粘り気に欠ける
②カルナウバ:パラフィンに添加することで、硬さと融点を上げる
③ダンマー:パラフィンに添加すると粘り気と光沢を与える
④蜜蝋、セレシン:パラフィンに添加するとしなやかさと光沢を与える
【所要性質】
①フロー:これは流れです。「フローが良い = 流れが良い」ということ。
②熱的性質:熱膨張係数は歯科用材の中で最大!ということは冷えて固まる時の収縮も大きい!
③内部応力:ワックスは鋳造の際に用いる。ワックスパターンを作る際に内部に応力が溜まり、そのまま放置すると応力が解放され変形してしまう。それを防ぐために、インレーワックスパターンの形状を強制的に保持することで、応力が緩和され変形が少なくてすむ。
【求められる要件】
・彫刻性、成形性が容易で表面が滑沢になること
➡そりゃそーだ!形成が容易なので、ワイヤークラスプとキャストワックスの比較ではキャストワックスのほうが適合性が良いとされてます。
・表面状態の再現性が良い
・形成後、外力によって容易に変形しないこと
➡よく実習で学生たちがバキバキに壊しますが、容易に変形したらだめです
・温度変化による膨張収縮が少なく、寸法安定性があること
・焼却時に残差が残らないこと。
≪臨床問題への応用≫
【問題】
歯科理工学:106-Cc125
器具の写真を示す。
この器具で操作する材料で正しいのはどれか。2つ選べ。
a 熱可塑性を示す
b 水の接触角が小さい
c 熱膨張係数が大きい
d キレート反応で硬化する
e 冷却でフローが大きくなる。
【解説】
a 熱可塑性を示す
➡おっしゃる通り、熱を加えて変形したら元に戻らないので可塑性を示します。
b 水の接触角が小さい
➡ワックスは油と考えてください、そうすると水をはじく性質ですね。
ということは、接触角は大きいです。そのため、鋳造の際は界面活性剤を塗布して濡れ性を向上させます。
c 熱膨張係数が大きい
➡400もあるんだ!大きいぞ!ちな、歯質は11、長石陶材は4です!
d キレート反応で硬化する
➡化学反応で硬化しねーし!ポリカルボキシレートセメントかよ。。。
e 冷却でフローが大きくなる。
➡これは、熱を加えると流動性が増すので×!
【正解】
a,c
では、またどこかでお会いしましょう、アデュー(*´♡`*)
- 出典:厚生労働省ホームページ