ありがたい・・・(合掌
ありがたい・・・(合掌2度目
33-MDDTの疲れを悟ってコメントをくださり、本当にありがとうございます。
このブログで少しでも皆様の日ごろの勉強の疲れを取り除ければと思って書いていたのですが、まさか僕が読者様のコメントで癒されるとは・・・
どんだけ前世で徳を積んだんだ、前世の僕は・・・ (合掌 3度目
さて、「義歯の臨床問題解法のツボ②」を解説していきたいと思います。
【義歯使用短期症例の話】
「長期症例」というのは「義歯を装着して6か月以上」と考えてください。
そして、長期症例での一番考えなければならないこと!それは!
【 顎堤吸収が起きている可能性がある! 】
➡ 顎堤吸収が起きると様々なエラーが起きてきます。
① 義歯の疼痛
➡顎堤吸収により義歯がガタついて、疼痛が出る
② フラビーガム
➡顎堤吸収が起こり、義歯がガタつく。そして、前歯部の突き上げが起こると慢性炎症のフラビーガムが起きる
③ 義歯性線維腫
➡顎堤吸収が起こることで、はじめはピタッとハマっていた床縁が相対的に長くなる。その結果、慢性炎症が起きて義歯性線維腫が起こる
④ 義歯の脱離
➡顎堤吸収により、粘膜と義歯庄の間にスペースが生じ、陰圧不足となり脱落する
⑤ 咀嚼障害
➡顎堤吸収によりガタつくことでうまく咀嚼できない。
【 人工歯の咬耗が起きているかも! 】
これによっても様々なことが生じます。義歯は基本的に「臼歯部で噛ませて前歯部は接触は弱め」です。ということは、臼歯部人工歯が徐々に削れて行きます。その結果、前噛みになる可能性があるのです。
前噛みになったら何が起きるか?
① フラビーガム
➡突き上げが起こるため、フラビーガムできそう
② 咀嚼障害
➡そりゃそうだ
③ 義歯の脱離、破折
➡前歯部で噛むことで、破折や脱離は生じますよね
ですが、これらの「顎堤吸収が起きているかも?」や「人工歯の咬耗があるかも?」はあくまでも主観です。
「かも?」ではなく「起きてる!」が欲しいのです、そのためには客観的データが欲しいですよね?
ではその客観的データはどこにあるか?
それは「写真」です。
「顎堤吸収が起きているかも?」を「顎堤吸収が起きている!」に確定させるためには
・フィツトチェッカーの写真で、露骨に白い部分がある
そして、その顎堤吸収に対しては
①リライン、リベースで空いている隙間を埋める(痛みがない場合
②痛みがある場合は粘膜調整剤で炎症を抑えたのち、リライン、リベース
「人工歯の咬耗があるかも?」を「人工歯の咬耗が起きている!」に確定させるためには
・咬合紙の写真などで、臼歯部の接触が無く、前歯部で当たっている
そして、人工歯咬耗に対しては
・咬合面再構成
これらが必要になります。
纏めると
問題文の「主訴」と「使用期間」からある程度症状をイメージする。その後、そのイメージを確定させるために「写真から客観的データ」を得る。
そして、主訴に対してアプローチを行う。
が術後管理問題の鉄則です。
【問題】
歯科補綴学:94-E7,8
65歳の女性。下顎義歯による疼痛を主訴として来院した。義歯は7年前に装着し、1か月前から痛みを感じるようになったという。口腔内写真、咬合接触状態を示す写真および適合試験の写真を別に示す。
原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a フラビーガム
b 不均衡な咬合接触
c 食片の床下への迷入
d 顎堤吸収
e 片側咀嚼
まず行うべき処置はどれか。2つ選べ。
a 粘膜調整
b 咬合調整
c 床縁の削除
d リベース
e 予備印象
【解説】
「主訴」➡下顎義歯による疼痛
「使用期間」➡7年
ということは、想像することは「顎堤吸収してるかな?」「人工歯の咬耗してるかな?」そして「ガタついていたいのかな?」です。
この「かな?」を「してる!」へ変換しましょう。
カナカナカナカナカナカナ(ジジイのひぐらしネタ)
まず、Bの写真から「あれあれーー、人工歯の咬耗は起こってなさそう!だって、臼歯部でしっかり噛んでるもん。けど、右の咬合印記強くね・・・?」
そして、Cの写真から「おおぅwwこれは顎堤吸収、しかも舌小帯部めっちゃ当たってるwwwいてぇよこれ」
が分かれば問題なし!
原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a フラビーガム
➡そもそも下顎なんで・・・フラビーガム上顎なんで・・・ そく✖
b 不均衡な咬合接触
➡まぁこれでしょう。人工歯の咬耗はないけど、偏りがありますね。
c 食片の床下への迷入
➡この選択肢が〇になる場合は「義歯研磨面の豊隆不足」や「庄縁が短い」が原因になります。
d 顎堤吸収
➡イエス!顎堤吸収
e 片側咀嚼
この選択肢は微妙・・・ けど、とりあえず臼歯部は左右で接触しています。片側で噛んでるなら、何方かが一方的にすり減っています。
【正解】
b,d
まず行うべき処置はどれか。2つ選べ。
a 粘膜調整
➡ やりたい・・・ が今回の主訴の原因は「顎堤吸収による床縁の過長によるくいこみ」なんです。ようはその長い部分を削るところから始めたいねん!
b 咬合調整
➡うん、さすがに行いましょう。右側めっちゃ当たってるし。
c 床縁の削除
➡こっちなんですよ!「まず」なので原因をとること優先!
d リベース
➡痛みがある時は「リライン、リベース、義歯新製」はダメですよ!
正常粘膜に戻ったら行いましょう
e 予備印象
➡患者怒るで・・・
では、またどこかでお会いしましょう、アデュー(*´♡`*)
- 出典:厚生労働省ホームページ