梅雨が明けそうですね、ようやく夏です。大学も低学年たちは夏休みに入り、六年生たちの勉強をする音だけが聞こえる毎日です。
さて本日から未だによく出る陶材焼付け鋳造冠の制作手順です。
【支台歯形成から鋳造までのインプット事項】
①支台歯形成
唇側:金属とポーセレンの2つの材料が混在するため、厚みのある辺縁形態
➡ ヘビーシャンファー、ベベルドショルダー
★特にベベルドショルダーは適合性が良いといわれています。
舌側:金属のみなので、薄い辺縁形態
➡ シャンファー、ナイフエッジ
②精密印象:縁下形成した場合、歯肉圧排を行い印象採得
➡寒天+アルジネートの連合印象 or シリコーン印象
③作業用模型製作
➡超硬石膏、硬石膏にて模型製作。
④メタルコーピングのワックスアップ
➡まず、歯冠部全ての形をワックスアップ。
その後、窓あけ(カットバック)を行いコーピングの形にします。
★重要なのは、一度「全部鋳造冠を製作するようなワックスアップを行い、その後窓あけを行う」ということです!
⑤メタルコーピングを鋳造
➡用いる金属は「陶材焼付け用金合金」です。こちらの記事を見て思い出してくださいね♪
そして、用いる埋没材は「リン酸塩系埋没材」です。これも記事チェック!
⑥丁寧に行うなら、ホワイトワックスにて歯冠形態を賦形後口腔内試適。
➡その際、隣在歯とのコンタクト、対合歯との嚙み合わせは診査することができません。なぜなら、陶材焼付け鋳造冠におけるコンタクトや咬合面の材料は陶材だからです。
また、このタイミングで「今後賦形する陶材のシェード、補綴物の形態とカントゥア」を確認しておきます。
≪臨床問題への応用≫
以前にも取り上げた問題ですが、もう一度確認してみましょう。意外と詰まっています。!!
【問題】
歯冠補綴学:110D-21
65 歳の男性。上顎左側の前装冠破折による審美不良を主訴として来院した。上顎左側犬歯と第一小臼歯の前装冠を再製作することとした。製作中の補綴装置の写真と試適時の口腔内写真を別に示す。写真で示す治療過程まで問題なく経過した。
歯科技工士に伝達する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
a 「シェードはA3でお願いします」
b 「リムーバルノブを切断してください」
c 「メタルコーピングを製作してください」
d 「グレージングの前まで仕上げてください」
e 「リテンションビーズを付与してください」
【解説】
この写真を「メタルコーピングにホワイトワックスを盛り、口腔内試適を行っている」と気づいてください。
ということは、「メタルコーピングは製作済み」ということが分かります。そして、次回行うことは「陶材の焼成を行い、グレーシング手前の状態(ビスケットベイク)の試適」です。
a 「シェードはA3でお願いします」
➡正解です。今後焼成する陶材の色を決めるタイミングはここしかありません。
b 「リムーバルノブを切断してください」
➡リムーバブルはすべてが終わり、支台歯に装着する手前に切断します。
c 「メタルコーピングを製作してください」
➡もうできてるやん!!
d 「グレージングの前まで仕上げてください」
➡そう、これこれ!ビスケットベイクという単語も確認してくださいね!
e 「リテンションビーズを付与してください」
➡レジン前装冠要素ねーだろ!!だし、そもそもメタルコーピングできてるやん!
正解】
a,d
では、またどこかでお会いしましょう、アデュー(*´♡`*)
- 出典:厚生労働省ホームページ